無自覚に胸キュンさせてくる御曹司が対処しにくい。
そんな緊張した空気を壊したのは、インターホン音だった。

ピンポーンという聞き慣れた電子音で張り詰めた空気は緩んだ気がした。


「煌也くん、お客さんが……」


私の言葉を聞いても、すぐに来客対応しない煌也くんを見てまだ空気が張り詰めている気がしたが、しばらくして煌也くんは何も言わずにインターホンのモニターへ確認に向かう。

そして、呟いた言葉は聞き覚えのある言葉だった。

「冬我」

煌也くんに社交性を教えたチャラ男!?とついモニターの方を振り向いてしまう。

しかし、振り返ったと同時に我に返った。

「……お客さんが来たのなら私は帰るね。また日を改めて勉強会をしよう」

煌也くんが何かを言いかけた気がしたけど、振り返れなくて逃げるように煌也くんの部屋を飛び出す。

煌也くんのマンションはエントランスで来客がチャイムを鳴らし、住民がモニターを見て許可しないと入れない。

先ほどのチャイムもエントランスのチャイムだったので、部屋の扉の前に煌也くんの友人が既にいるわけじゃない。

だから邪魔にならないように早く部屋を出た。
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