無自覚に胸キュンさせてくる御曹司が対処しにくい。
「小夜、私って煌也くんに会う前緊張してるの? 見て分かるくらい?」

つい不安になり、そう聞いてしまう。

しかし、私の不安そうな顔を見て小夜は楽しそうに笑った。

「緊張することって別に悪いことじゃないんよ。藤香は私を話す時、緊張する?」

「しないけど……でも、それは小夜とは長い付き合いだからでっ」

「御曹司とはもっと昔からの付き合いじゃん」

「でも、しばらく会ってなかったし……」

「お子ちゃまだなぁ。人が緊張するのは親しいか親しくないかだけじゃないんだよ」

「さっきからどういう意味? ちゃんと教えて」

「それは御曹司に教えてもらわないと」

教育係である私が煌也くんに教えてもらう?

それだと教師と生徒が逆になるようなものじゃない。

そんな気持ちをそのまま小夜に伝えたら、なぜかめちゃくちゃ笑っている。

「あははっ、あー笑い過ぎて苦し。まぁ健闘を祈る!」

「なんで毎回それを言うの!」

そして今日も以前同様、小夜に押し出されてオフィスをあとにする。
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