無自覚に胸キュンさせてくる御曹司が対処しにくい。
「それで、なんで今日は公園なの?」

私が煌也くんの方を見てそう聞くと、煌也くんが嬉しそうに笑う。

「着いてからのお楽しみ」

敬語が外れた時のような……ううん、敬語が外れた時より今の方が煌也くんに近づいた気がした。

幼い頃に見た煌也くんの笑顔を思い出してしまう。

幼い頃も頻繁に会っていた訳じゃない。

だからだろうか、幼い煌也くんの笑顔は今まで忘れていた。

でも、この瞬間に思い出せた気がする。

淡い記憶がくっきりと鮮明になったように。

「藤香ちゃん? どうかした?」

「ううん、なんでもない。すっごく楽しみだなぁって思っただけ」

「まだ公園に何があるか分からないのに?」

「うん、それでも楽しみ!」

煌也くんに釣られて私まで笑ってしまう。



「かわいい藤香ちゃん」



そんな言葉が聞こえた気がして咄嗟に振り返っても、煌也くんの表情はいつも通りだった。

(き、聞き間違い……?? だとしたら、どんな聞き間違いをしているの私!)

顔が勝手に赤くなるのを治めるために呼吸を落ち着けていたら、いつの間にか公園に着いてしまう。
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