保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました
「一回、力抜いて?」
「え、は、はい……っ」
「一回、立ってくれる?」
言われるがままに力を抜くと、海里先輩は私の右膝のガーゼに触れないよう、優しく身体を抱え上げた。そのまま、彼の膝の上へと乗せられる。
「あ……膝、気遣ってくれたんですか?」
「当たり前でしょ。咲奈ちゃん、怪我人なんだから」
そう言って小さく笑うと、先輩は後ろから私をそっと抱きしめた。
「ぎゅーっ」
私の肩には先輩の顎がのせられ、腰には先輩の長い手がまわされている。
先輩の体温を、背中越しに感じる。
密着した距離に、鼓動がおさまりそうにない。
「んー。咲奈ちゃんの髪、いい匂い……」
先輩が私の髪に頭をうずめて、すんすんとする。
う。くすぐったいし、なんだか恥ずかしい。
「ああ、咲奈ちゃんと両想いだなんて。夢みたいで幸せだなぁ」
「私も、幸せです」
幸せだけど。先輩が後ろにいるせいで、私のほうから彼の顔が見えないのは辛い。
「あの、須藤先輩」
「須藤先輩、じゃなくて。海里って呼んで」