保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました

「か、海里……先輩?」

「んー……『先輩』はいらないんだけどな。まぁいっか、少しずつ慣れてね」

満足そうに目を細めると、海里先輩は頭を撫でてくれた。

「それで? なーに? 咲奈」

いつの間にか先輩の私の呼び方が『咲奈』と呼び捨てになっていて、心臓が跳ねる。

「いや、あの。せっかく今一緒にいるのに、海里先輩の顔がさっきからずっと見えないのが辛いです」

「えっ、何それ。可愛いこと言ってくれるね、咲奈は。それじゃあ、右向いて?」

私が言われたとおりに右を向くと、こちらを向いてくれた先輩とようやく至近距離で目が合った。

しばらく黙って、お互い見つめ合っていると。

──ちゅっ。

「!」

先輩が私の唇に、触れるだけのキスを落とした。

「ちょっと、先輩。今の、私のファーストキスだったのに。こんな不意打ち……!」

私は、頬を膨らませる。

「そんなに怒らなくても良いじゃん。それじゃあ、もう一回やり直しね」

言い終わるか終わらないかのうちに、今度は逃がさないとでも言うように優しくあごを押し上げられた。

先ほどよりも長い、熱を孕んだキス。

離れてはまた重なる唇が、私の唇から頬、耳、首筋へと、ゆっくりと甘く移動していく。

「……っ、ん」

「好きだよ、咲奈」

そうして再び私の唇に先輩のものが触れ、海里先輩からのキスは止まらない。

「せんぱ……っ。さっき言ってた悪いことっていうのは、もういいんですか?」

「ん? それなら、もう今してるけど?」

えっ? 今してる?

言葉の意味が分からず、私は首を傾ける。
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