保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました
「す、すみません。先輩って言うの、癖になっちゃってて」
「別に、責めてるわけじゃないよ。ただ、俺らもう付き合ってるのに、先輩呼びのままなんだなって、なんか面白くて」
「じゃあ、直したほうがいいですか?」
「いや、別に。咲奈が呼びたいように呼んでくれていいよ。俺は、咲奈になんて呼ばれても嬉しいから」
優しく笑う先輩に、また心がふわりと軽くなる。
「……じゃあ、このままで良いですか? 海里先輩って呼ぶの、なんか私も、しっくりきてるので」
「うん、それでいいよ。咲奈らしいし」
そんな些細なことにも、ちゃんと向き合ってくれる先輩に、また少し嬉しくなった。
「あ、そうだ。今日の放課後、時間ある?」
「はい、大丈夫ですけど」
「実は、リンに会わせたくてさ。咲奈のこと」
「え? リンちゃんに、私を!?」
思わず、声が裏返ってしまう。
「うん。写真見せたら、なんかキミのこと気に入ってくれた気がしてさ。実際に会わせたいなって」
まさか、先輩の家にお邪魔することになるなんて。
なんだか急に、緊張と嬉しさが入り混じった気持ちになる。
「わ、私、今まで愛犬以外に気に入られたことなんてないですけど……頑張ります」
「なんの意気込みだよ、それ」
先輩が声を上げて笑う。
その笑い声を聞くだけで、私も自然と頬が緩んでしまった。