ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
(あの子じゃないか。他の転校生は……)

考え込んで足を止めると、また手を引っ張られて歩き出す。

湖に繋がる道に入って下り坂をしばらく歩くと、風で打ち寄せる波音が聞こえてきて湖岸に出た。

遠くに遊覧船が見え、水鳥の姿もある。

開放感があって景観は美しいが、足元はこぶし大の石がゴロゴロして歩きにくい。

「わっ」

石の隙間にブーツのかかとが挟まり転びそうになる。

すかさず海崎が腰に腕を回して支えてくれたのでことなきを得た。

「ごめん、ありがとう」

「こっちこそ、気づかずすまない。おぶろうか?」

真顔できかれ、思わず吹き出した。

「譲をつぶしちゃう。私ね、記憶にある限りいつも土台の方だったんだ。組体操とか騎馬戦とかね。おんぶも、する方なら何度かやったよ」

遠足で疲れて歩けなくなった子や、転んでけがした子を保健室までおぶった思い出がある。

「ほとんど夢美なんだけどね。夢美は細くて小柄でなぜかよく転ぶし、小さな頃から私が面倒みるのが当たり前だったんだ」

だから姉妹みたいな情があり、夢美も『私の大事な鈴花』と言ってくれるほど今も慕われている。

「クラスメイトの男子をおぶったことは?」

「さすがにないよ。女子におぶられるなんて恥ずかしいっていう年頃でしょ」

そう思ったが、同じ年の男の子をおぶった記憶がぼんやりと浮かんだ。

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