ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
(夏休み明けに転入してきた気がする。ということは、秋の神社の豊穣祭は一緒に行ったのかも。あっ、そうだ。お神輿を担いだあと、お菓子をもらい損ねていたから私の分を半分あげたんだ)

ぼんやりとした記憶の中で、金髪の男の子の顔がもう少しはっきりしてきた。

(目は黒っぽかった。外国人らしい顔立ちを想像しちゃってたけど、もっと日本人ぽかったかも)

集中して思い出していたら、アパートの横を通り過ぎていた。

「譲、帰らないの?」

「もう少しだけ。寄りたいところがあるんだ。いい?」

「うん……」

もっとヒントをくれるということだろうか。

そうならありがたいと思いつつ付いていくと、小学校の校庭が見えてきた。

フェンス越しに校庭の前で立ち止まり、並んで百メートルほど向こうにある校舎を眺める。

なにも言わない海崎の横顔と校舎を見比べていると、彼がクスッとした。

「どうしたの?」

「いや、少し思い出していただけ。鈴花は給食のメニューでなにが好きだった?」

「うーん」

鈴花にとって難問だ。

「カレーも揚げパンもわかめご飯も南瓜コロッケも、全部のメニューがおいしかったから一番を決められないよ」

「鈴花らしいな」

軽く笑った彼がこっちを向いた。

「俺は麻婆豆腐が印象に残ってる。『草とおばあさんと豆腐のディッシュ』。漢字で書くと面白いよな」

「草じゃなくて麻だよ――あれ?」

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