ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
黒板に夢美が書いた麻婆豆腐の漢字が浮かぶ。

給食当番をしている金髪の子のエプロン姿も。

(草とおばあさんと豆腐のディッシュは、あの子が言ったんだ。ドン引きした顔をしてたから、みんなで大笑いして……)

その記憶に引きずられるようにして、他のエピソードも浮かんでくる。

子供の頃の自分の声が頭の中に再生された。

『悪口言っちゃいけないんだよ。意地悪もダメ。今度やったら、もっとぶっ飛ばすから』

(いじめられてたあの子を助けたつもりだったけど、六年生と一緒にフッ飛ばして尻もちつかせたの私だった)

『ジョー、大丈夫? 立てる?』

(あっ、思い出した!)

金髪の男の子と海崎の顔が、頭の中でぴったりと重なった。

「あの子の名前、ジョーくんだ。てっきり英語名だと思ってたんだけど、〝譲〟だったんだ」

『ジョーとかいうイギリス人』と実家にかかってきた電話で母が国際ロマンス詐欺師扱いしていたが、自分も同じ勘違いをしていたと今気づいた。

「よかった。やっと思い出してくれた」

嬉しそうな顔の彼に食いつく勢いで聞く。

「ねぇ、どうして髪の色が違うの? もしかして黒く染めてるの?」

「逆だよ。子供の頃に金髪に染めたんだ。当たり前のように日本語で話しかけられるのを防ぐためにね」

日本語を話せなかったら、バカにされると思っていたそうだ。

「そんなことしないよ」

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