ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「真紀さん、ここではちょっとマズイです」

さらっと彼の名を口にされて焦って周囲を確認した。

「大丈夫、知り合いがいないのは確認済み」

「すみません、気を使わせちゃって」

「過敏になる気持ちはわかるよ。職場で働きにくくなるのは困るよね」

頷き合っていると、夢美がテーブルに身を乗り出す。

「だから職場では詳しく聞きたいのを我慢してたんだ。今はいいでしょ? のろけ話、たくさん聞きたい!」

(のろけ話はたくさんあるけど……)

この一週間ほどの間の新婚生活はまるでスイーツのよう。

キッチンや洗面所で立っている時に、突然のバックハグから耳元で『可愛い』と囁かれるのは序の口だ。

隙あらば唇を奪われ、色っぽい顔で迫られたり一緒にお風呂に入ろうと誘われたり、夜勤の日以外は同じベッドで寝て何度も体を重ねた。

これまでは携帯のアラームで朝起きていたが、今は『おはよう。マイスイートハニー』とすてきなバリトンボイスで目覚めている。

(そんなの、ふたりにだって話せないよ)

「ふ、普通だよ。うん、いたって普通。のろけられる話はないかな」

笑ってごまかそうとしたけれど、目は泳ぐし顔は隠せないほど熱い。

「言わなくてもわかったわ」

真紀はニヤッとし、夢美は体をねじって悶絶している。

(恥ずかしすぎる)

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