ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
立ち上がって見つめ合い、唇を合わせる。

(譲は私のものだよ)

誰にも取られたくないという独占欲を感じて自分でも少し驚く。

どうして彼のような素敵な男性に自分が選ばれたのだろうか、とはもう思わない。

釣り合いが取れていなくても絶対的な心の繋がりを感じる。

深くなるキスに夢中になりながら、彼の重たい愛に追いついた気がした。



それから四日が経ち、時刻は十二時半。

早番で勤務中の鈴花がフロントカウンターに立っていると、正面玄関前にタクシーが止まった。

チラチラと雪が降る中、タクシーを降りるデュボワ父娘の姿が見える。

チェックインにはだいぶ早いこの時間は、ロビーにベルボーイは立っていない。

ドアを開けるのはお客様自身にお願いしているのだが、デュボワ父娘はなんとタクシー運転手に声をかけて開けさせていた。

(運転手さんはホテルマンじゃないのに)

アルマが着ているゴージャスな毛皮のコートは四日前のものとも昨日のものとも違う。

ファッションの投稿もしているため、何着も持ってきたのだろう。

不機嫌そうな顔の父親と一緒にカウンター前に来た彼女は、女優サングラスを外して口の端を下げる。

『この町、湖と温泉以外なにもないのね。どこかで昼食を取ろうと思ったのに、しけた店ばかりだわ。動画どころか写真も撮れない。なんとかしてよ』

(そんなこと言われても)

< 184 / 242 >

この作品をシェア

pagetop