ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「食べ足りないから、コンビニに行こうと思って」

「今から? 休憩終わっちゃうよ」

「私、走るの速いから大丈夫。じゃあね」

普段の大食いのたまものかすんなりと信じてもらえて恥ずかしい思いをせずにすんだが、フロントに戻ると加藤にも不思議がられる。

「えっ、客室点検ですか? やけに早いですね。今日、なにかありましたっけ?」

「ううん、ないよ。なんとなく、早く終わらせた方がいい気がして。こっちのことは気にしないで、加藤くんはいつも通りでお願いね」

ごまかし笑いをして客室点検用のタブレットを持ち、アメニティグッズを積んだ台車を押してひとりエレベーターに向かう。

(客室点検は通常業務だもの。譲が心配で覗きに行くわけじゃないから)

ホテルマンとしての倫理観に背かないよう自分に言い訳し、エレベーターで七階に上がった。

焦っていても手は抜かず、客室ふたつをしっかりチェックしてから廊下をさらに奥へ進む。

その先、最奥にデュボワ父娘が泊まるエグゼクティブルームのドアがあった。

(どうしよう。お部屋の前まで来てみたけど、用事がないから呼び鈴を鳴らせない)

宿泊中の部屋の点検はしていない。

アメニティの補充も頼まれていないので困っていると、ドアが開いてアルマの父親が出てきた。

『お出かけでしょうか?』

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