ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
唇が触れ合うことはなく、海崎が立ち上がってドアへ向かう。

「譲、誰か確認しないの?」

「神山支配人だよ。部屋に来てくれるよう、頼んでいたんだ」

神山は帰宅したものと思っていたが、検証予定だったので館内にいてくれたらしい。

ドアを開けると神山が入ってきて、海崎に会釈した。

「おつかれさまです。アルマさんの謝罪文、私も確認しました。ということは、ビデオカメラはもう外していいですね?」

「そうですね。お願いします」

鈴花にも声をかけてくれる。

「杏野さんもおつかれさま。幽霊投稿が嘘だと認められたから、録画は使わないことにするよ。頑張ってくれたのにすまないね」

「いえ、私はなにも」

正直に言うと、自分の姿を不特定多数の人に見られなくてすんでホッとした。

カメラを外して三脚をたたむのに協力しながら一応伝えた方がいいかと思い、怜奈が途中で帰宅したことを報告した。

「下で会ったから事情は聞いたよ。検証係を買って出たのに、かなり怖がっていたな。本当に怪奇現象が起こったのかと思ったよ」

呆れたように笑う神山に、鈴花はバツの悪い思いで首をすくめた。

(私も同じだったって、言えない……)

「入れ替わりで海崎オーナーが来てくれたんだ。もちろん、杏野さんを心配してね」

「私、検証係を引き受けたことは話していなかったんですけど。心配かけると思いまして」

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