ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「俺もなんだ。偶然だね。車で送っていくよ」

(偶然……なの?)

早番だった昨日に続いて遅番の今日も退勤時間に鉢合わせるとは、合わせたとしか思えない。

(こんな時間まで待ってたの?)

思いつく理由はひとつ。少しの時間でも一緒にいたいと彼が思っているからだ。

恋愛感情が伝わってきて頬が熱くなる。

「ありがとうございます。でもあの、夜遅い時間ですし、家に上がってくださいとは言えません。それでもいいですか?」

期待していると困るので先に断ると、彼が苦笑した。

「君の気持ちは昼間に聞いて、わかってるつもりだ。心配しないでくれ」

外に出て、職員駐車場に向かって並んで歩く。

「変に勘繰ってすみません」

その気がなかった彼に警戒してしまったことが恥ずかしい。

「変じゃない。俺は鈴花と夫婦関係を築きたい。君がその気になってくれるなら、いつでも家に上がり込むよ」

たぐいまれなる美貌の持ち主から繰り出される甘いジョークは、刺激が強すぎる。

クスッと余裕のある笑い方をされ、さらに恥ずかしくなる。

(こんな私に、そういうのはちょっと……)

女性としての魅力が上がったような気分にさせられ、暗がりの中でこっそりお腹の肉をつまむ。

(このぽっちゃり感、なにも変わってないから。調子にのったらダメ)

「乗って」

海崎の車は、車種にうとい鈴花でも知っているドイツ製のSUV車だ。

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