ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
このままだと一緒に暮らすまでに何年もかかりそうだと心配したそうだ。

「俺としては、今すぐにでも夫婦生活を始めたいのに」

耳元で甘い言葉を囁かれ、ゾクッとして体を震わせた。

(待って。バターになっちゃう)

鼓動が最高潮に鳴り立て、体の芯が火照りだす。

戸惑いは強いが嫌ではなく、むしろこの腕の中にずっといたいとさえ思う。

愛される喜びで鈴花の気持ちも今までより彼の方に傾いた。

(付き合ってるんだから、このくらいは普通だよね?)

抱きしめられるのを完全に許したその時、大きな彼の手がゆっくりと下へと動き出す。

色っぽい展開を予想させる手つきに、ハッと我に返って慌てて彼の胸を押した。

(私、今、ほだされそうになった。危ない……)

鈴花が半歩下がると、宙で手を止めている海崎が苦笑する。

「ダメ?」

「うん。ダメ」

「わかった。鈴花が嫌がることはしないよ。安心して」

(安心できないよ。私がうっかりその気になるかもしれないもの。ん……? 夫婦だからその気になった方がいいのかな? でも、ついこの前まで他の人とつき合っていたのに、早すぎでしょ。もう少し時間をかけて好きにならせて)

戸惑わずに彼の胸に飛び込める時間がほしい。

色気を消した海崎が、ポケットから携帯電話を出した。

「引っ越し蕎麦を頼まないと。お薦めの店はある?」

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