もう、幼馴染じゃいられない。
* * *
――ガチャッ
「ただいま。おかあさ……え?」
「雛乃…大事なお知らせがあるわ」
母子家庭であるうちで、母が家事も仕事もせずただただテーブルに座っているのは異常事態と等しきこと。
「何、お母さん」
「座りなさい」
声のトーンが低い。
美人だからこそ、怖いときの気迫は凄まじい。
椅子に腰掛ける。
「…海外出張が決まったわ」
……え?
「かい、がい…しゅっ、ちょう?」
「そう。…1年半」
「え!?長くない?」
「えぇ長いわよ!でも…社長が…1人辞職したからって……全て私に……って、ごめんなさいね。八つ当たりしちゃったわ」
「ううん、いいよ、大丈夫。」
「で、だから……その1年半。ほぼ卒業までの間。お母さんがいない状況。あんたは料理とか家事はできるはずだけど、言い年した女の子よ。ストーカーとか出来れば、お母さんも居ないし、守ってあげらんない。」
「出来ないよ……!」
「確証はないでしょう?」
「うっ…」
「だから、ボディガード兼同居人を……頼んだわよ!!りっくーん!!!」
!!??
急にテンションが上がり、部屋の明かりが付いた。
そこに立つのは、気まずそうにする理世。
「理世……!」
「ひな…」
「じゃあお母さん今日からなの!じゃあ頼んだわよりっくん〜♡」
「は!?急すぎ……って、荷物あるし!ああー!!」
詩遊さん超えの嵐の勢いで家を出ていったお母さん。
我が子と別れる寂しさは!?ないの!?

