溺愛、しないで
部屋の明かりをつけてくれるが、そこで見えたのはやはりどう足掻いてもあの男だった。
「銭次、電気消して出てけ。俺達はまだ寝る」
「ちが、寝なっ……!」
空いていた左手で彼の厚い胸板を押し返すが、突然そこから痺れるような痛みが広がり強く眉を寄せた。
「っい゛……!」
「っ馬鹿、怪我してること忘れてんじゃねえ!」
焦ったような声と共に、勢いよく起き上がった青島さんに手を掴まれる。
そこでちゃんと見た自分の左手首には包帯が巻かれており、手当てされていることを知った。
彼は寝癖でこめかみの毛が跳ねているが、それを除けば真剣に心配しているような雰囲気が伝わり、腑に落ちないような変な気持ちになる。
こうなる原因を作ったのは間違いなくこの男だからである。