独占愛は夜より深く。
「顔、赤い」

要が楽しそうに言う。

「誰のせい」

「俺」

あっさり認めるのもずるい。
私は悔しくなって、少しだけ要の服をつかんだ。

「……要だって」

「ん?」

「私が触ったら、たぶん弱いくせに」

その瞬間、要の目が変わった。

しまったと思ったときにはもう遅い。
要の腕がぐっと強くなって、私はそのままソファに押しつけられるみたいに抱き込まれる。

「煽ったな」

低い声。
甘いのに危ない。

「ち、違」

「違わない」

要は私の指先を捕まえて、そのまま自分の手の中に閉じ込めた。

「そんなこと言うなら、責任取れ」

「責任って」

「もっと触れろ」

真っ直ぐ言われて、今度は私が言葉に詰まる。

要は少しだけ笑って、それからすごくやさしい顔になった。

「冗談」

そう言ったくせに、次の瞬間には唇に甘いキスが落ちる。
短く触れて、離れて、また触れる。
焦らすみたいに何度も。

「……要」

名前を呼ぶだけで精いっぱいだった。

「好き」

今度は要から先に言う。
しかも、こんな近くで。
逃げられるわけがない。

「好きだよ、紗菜」

胸の奥まで甘くなる。
私はもう観念して、小さくうなずいた。

「私も……好き」

それを聞いた要が、すごく満たされたみたいに笑う。

「もっと」

「え……?」

「もっと聞かせて」

甘い。
重い。
でも幸せすぎる。

私は真っ赤になりながら、要の胸に顔を埋めた。
すると要は満足そうに私を抱きしめる。

「今日は離さない」

耳元でそう囁かれて、また心臓が跳ねた。

「ひゃっ…くすぐったいよ…」

静かな夜。
もう追手もいない。
怖いものもない。
あるのは、好きな人の腕の中のぬくもりだけ。

要の独占愛は、夜が終わったあとも、やっぱり深かった。



< 59 / 59 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:5

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

今宵、黒蝶を溶かして。
みりい/著

総文字数/6,366

恋愛(逆ハー)17ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
夜の街は、冷たかった。 親からも見捨てられ、絶望に浸っていた私に。 1人の悪魔が、やってきました──。 * ─────『今宵、黒蝶を溶かして。』 ※愛されすぎ注意です    
溺愛王子と秘密の同居
みりい/著

総文字数/76,246

恋愛(逆ハー)138ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
『すず、お兄ちゃんの代わりに学園へ行って』 私、夢咲すず。 ワケありで男装して全寮制のエリート学園に入ることになってしまいました。 しかも寮のメンバーは世界を夢中にさせたあのShine4 というアイドルグループで!? なんと初日から女の子だとバレて大ピンチ!? 『ここじゃ、ぼーっとしてるとすぐ食われるぞ』 『……は?』 男装した私が、王子サマ達に溺愛されています! 男だと思ってたのに、その瞳は甘すぎて…。 わ、私の平穏な学園生活、返してください! ──────────────── \ この物語の主人公。芯のあるヒロイン / 夢咲すず<yumesaki suzu> × \ 強引だけど好きな子だけには甘々?/ 東堂玲央<toudou reo> × \ やわらかい雰囲気の王子サマ。/ 姫乃るい<himino rui> × \ 優しくて安心感のある男子。/ 小谷 悠真<kotani yuma> × \ 少し近寄りがたい一匹狼。/ 神谷 朔夜<kamiya sakya> ──────────────── ただ、お兄ちゃんのために行く。 最初は本当に、それだけだったのに────。 こんなにも、ドキドキするのはなんで───?  でも、終わりもだんだんと近づいてきて…。 ──────────────── start▷2026/10/14〜

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop