恋のメンテナンスは必要ですか?
「そうか。……確かに住む世界は違うと感じてしまうかもね。でも、それは彼自身を知ろうとしない理由にはならないと僕は思うよ。」
院長の言葉に彩の心がぎくっと跳ねた。
自分の心の中を見透かすような言葉に急所をつかれた気分だった。
でも……理由はそれだけではなくて。
過去の経験から恋愛なんて、と引いてしまっている自分がいるのも事実。
(私には……釣り合わない)
翔さんの生きる世界では、自分はそこら辺に転がる石ころのようなもの。
私じゃなくてもあの人には魅力的な人が沢山集まってくる。そんなことばかり思ってしまって。
思考はどんどんネガティブに走ってしまう。
「……葉山さんは仕事も丁寧で患者さんからの信頼も厚い。ここにはまだ入って二年だけど、僕はあなたを信頼しているよ」
院長の優しい言葉と微笑みに、胸の奥が温かくなった。
彩は瞳に溢れそうな涙を堪え、微笑む。
「ありがとう、ございます……」
彩の返事に微笑みで返した院長は「引き留めて悪かったね。明日もよろしく」と彩をスタッフルームへ見送った。