恋のメンテナンスは必要ですか?
 *

 パーティー会場を出て、クロークで上着を受け取る。
 外の寒さを想像してコートを羽織り、前のボタンを閉めて歩き出す。

 支度を終えてエレベーターホールに出るとすでに翔が支度を終えて立っていた。

 綺麗めのスーツに、雰囲気の違うダウンジャケットは意外だなと思った。
 翔の雰囲気的にオシャレなコートを勝手に想像していた。
 思わぬカジュアルな上着に親近感が湧き上がる。


 「待たせてすみません」
 
 彩は小走りで翔に駆け寄り、謝った。
 彼は「全然待っていないですよ」と微笑み返す。
 
 タイミングをわかっていたみたいにエレベーターの扉は開き、翔と彩は二人で乗り込んだ。

 
 高層ビルの最上階で開催されていたパーティー。
 エレベーターはなかなか一階にはつかない。
 気まずさに一点を見つめていると翔が先に口を開いた。

「彩さん、まだ少し時間ありますか?」

 唐突な質問に首を傾げ「どうしました?」と返す。
 
 翔は彩の返答に「良かったら——」と言葉を続けたのだった。
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