恋のメンテナンスは必要ですか?

 
 送ってもらう道中、たわいのない話を続けた。
 
 「次はなんのゲームをしようか」「ボーリングもしたいね」「三樹さんも誘おう」とたくさん話しているうちに煌(きら)びやかなタワーマンションが視界に入った。
 ロータリーへ車を停めてもらい、助手席を降りる。

 樹と視線を交わし、それぞれの想いを秘めながら微笑んだ。

 
「……また明日」

「おう。また明日。」
 

 
 帰りの車内には樹の好きな曲がランダムで流れていた。
 目の前に流れていくクリスマスのイルミネーション。
 恋人たちの微笑ましい姿に、今この瞬間だけは目をそらしたかった。
 
 思いがけず流れてきた失恋ソングに樹は眉を下げた。
 
「くっそ……わざとかよ」

 空気を読んだような選曲に思わず文句がこぼれた。

 
「っ……っ……」

 絞ったような泣き声が曲と重なる。
 堪えていた反動か、心に開いてしまった穴を埋めるように。

 樹は涙を流し続けた。

 
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