恋のメンテナンスは必要ですか?
 *


 結局。

 (私は最後まで変わることはできなかった)


 杏菜は退職した職場をじっと見つめ終えると後ろへ歩き出す。

 『お疲れ様』とみんなから貰った花束。
 香る花の匂いにほんの少しだけ鼻の奥がツンとした。

 最後に渡した赤い箱のお菓子。
 ムカつく先輩のそのお菓子は、いつの間にか杏菜とってお気に入りのお菓子になっていた。

(本当、人が良過ぎてムカつく先輩。)

 杏菜は振り返らない。
 自分の性格の悪さも子供っぽさも。全部私だ。

 それでも。

「……」

 少しくらい、あのムカつく先輩を見習っても良いかもしれない。

 
 思って、笑った。

 
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