『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』
家族は帰した。

 これで、もう遠慮はいらない。

 俺はゆっくり窓路へ視線を戻した。

「さて。今度こそ、全部話せ」

「ああ」

「逃げんなよ」

「逃げない」

「本当に?」

「しつこい」

「お前が信用ならねぇんだよ」

 神楽の穏やかな笑いが、心の中へ静かに響いた。

 窓路が何を企んでいるのか。死神部門が何故、あそこまで徹底して仕事を止めたのか。俺の手当の書類まで止めた理由は何なのか。

 そして、冥府庁官房長官である木魂おじさんが、一体何をやらかしたのか。

 聞きたいことは山ほどある。

 けれど――それは、ここから先の話だ。

 昨日まで、自分は本当にただの門番だったはずなのに、気づけば三年前から部門長で、今日は存在すら知らなかった双子の兄まで増えた。しかも五十年ぶりに盛大に暴走した両親のせいで、近い将来、今度は弟か妹まで増えるかもしれないらしい。

 ついでに、家族を守るため何気なく張っていた自宅の防御結界が、天界すら揺らした親父と母さんの災害級の魔力まで遮断していたことまで判明した。

 どうして一日二日で、ここまで家族事情と面倒事ばかり増えるのか。

 考えれば考えるほど頭が痛くなり、俺は思わず天井を仰いだ。

「……本当に、どうしてこうなった」
< 54 / 54 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
ロト7で約12億円。 これだけあれば、 今度こそ人生をやり直せる。 そう思っていた――はずなのに。 裏切り続きの人生を捨て、 静かに暮らしたいだけだった神宮寺奏、28歳。 そんな彼女の前に現れたのは、 容姿端麗、頭脳明晰。 そして、とんでもなく過保護な敏腕弁護士・澤登陸斗。 仕事も。 住む場所も。 気づけば逃げ道まで。 なぜか着々と囲い込まれていく。 しかも――。 どうやら二人の出会いは、 これが初めてではないらしい。 宝くじから始まった人生逆転。 過去に隠された真実と、 逃げても追いかけてくる重すぎる愛。 果たして奏が最後に見つける「薔薇色」は、 いったい何色なのか――。 ※本作品はフィクションです。 登場する人物・団体・企業・法律事務所・事件等はすべて架空のものであり、実在の人物・団体等とは関係ありません。 ※作中の法律・捜査・医療等に関する描写には、物語上の演出を含みます。   ◎2026年9月7日に完結しました。
表紙を見る 表紙を閉じる
二十一歳で日本を離れ、五年ぶりに帰国した鷹宮綾乃。 新しい人生を始めるはずだった彼女を待っていたのは、かつて誰よりも大切だった幼馴染――KSサイエンスCEO・藤和遼河だった。 再会した彼は、昔と変わらず冷静で容赦がない。 なのに綾乃にだけは、驚くほど過保護で、独占欲が強くて、愛が重い。 CEOと専属秘書として再び始まった二人の時間。 けれどその裏では、綾乃を長年苦しめてきた家族の秘密が、少しずつ動き始めていた。 封じていた恋心。 十五年越しの因縁。 隠されていた家族の真実。 そして、思いがけず宿った新しい命。 愛されることも、幸せになることも諦めていた綾乃が、本当の家族と自分の居場所を取り戻していく物語です。 シリアスな家族の因縁もありますが、最後に待っているのは――騒がしいほど幸せなハッピーエンド。 綾乃と遼河、そして少しクセの強い家族たちの物語を、最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。 2026.8.30 完

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop