総長の、夜よりもあぶない溺愛。
「これはもう完全にやばいね」

相沢が笑いながら近づいてくる。

「何が」
 
蓮は紗月を抱き寄せたまま低く返す。

「紗月ちゃん、思ってた以上に強いし可愛いし、しかもちゃんと役に立つ」

相沢は肩をすくめた。

「惚れ直すに決まってるでしょ」

「直すってことは前から惚れてたんだな」

白石がすぐに突っこむ。

「白石こそ」

相沢がにやっとする。

白石は隠す気もなく笑った。

「そりゃな。あんなふうに震えながらも立たれたら、守りたくなるだろ」

「守りたくなるだけじゃありませんね」

神崎も静かに歩いてくる。

「頼もしいと思いました」

紗月が目を丸くすると、神崎はやわらかく微笑んだ。

「怖いのに逃げず、ちゃんと周りを見て、必要な時に声を出せる。簡単なことではありません」

その落ち着いた褒め方がうれしくて、紗月は少し照れる。

桐生も近くまで来ると、静かに紗月を見る。

「すごかった」

「桐生くん……」

「ちゃんと隣に立ってた」

短い。
でも、その言葉がいちばん深く胸に入ってくる。

紗月は思わず、うれしさで少しだけ目が熱くなった。

すると白石が笑いながら言う。

「だめだろこれ。総長だけのもんにしとくには魅力ありすぎる」

「白石」

蓮の声が一気に低くなる。

相沢も楽しそうに続ける。

「分かる。今ので好きにならない方が無理」

神崎は苦笑しながらも否定しない。

「ええ。かなり危険です」

「危険って何が!?」

紗月が思わず声を上げると、相沢がにこっと笑った。

「こっちの心」

紗月の顔がまた真っ赤になる。

桐生はぼそっと言った。

「もう遅い」
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