君のとなり〜拓実と〜

第20章 同窓会

 春休み。

中学時代の同級生たちが集まる、小さな同窓会が開かれた。

久しぶりに会うメンバーが集まる中、瑠夏もその輪の中にいた。

そして――翔も来ていた。

中学を卒業してから、もう一年。

「瑠夏には関係ない」

そう言われてから、ずっと翔とは話していなかった。

同じ場所にいても、自然と距離ができてしまう。

今日も、必要以上に翔を見ないようにしていた。

そんな中、友達が昔の話を始めた。

「ねえ、そういえばさ」

「彩花と翔って付き合ってるって噂、あったよね。あれって本当はどうだったの?」

その言葉に、彩花と翔が同時に顔を上げた。

「は?」

二人の反応が重なって、周りから笑いが起こる。

「いやいや、付き合ってないから!」

彩花が慌てて手を振る。

「告ったのは本当だよ。でも振られたんだよね〜」

「……彩花、それ今言う?」

翔が苦笑する。

「だって本当のことじゃん」

彩花は笑いながら肩をすくめた。

「振っても翔は変わらず仲良くしてくれたけどさ」

「まあ、普通に友達だし」

翔は何でもないことのように答える。

その会話を、瑠夏は黙って聞いていた。

胸の奥が、ざわざわする。

付き合ってなかった……?

あの噂は、嘘だったの?

すると彩花が、ふと思い出したように言った。

「そういえば、この前、瑠夏と偶然会ったんだよね」

瑠夏が顔を上げる。

「そのとき話してたらさ……瑠夏もあの噂、信じてるみたいだった」

「……え?」

翔の声が落ちた。

彩花は、何も気にせず続ける。

「私と翔が付き合ってたって、今でも思ってるみたいだったよ」

その瞬間。

翔の中で、何かが繋がった。

中学の頃。

急に瑠夏が自分を避けるようになったこと。

話しかけても、どこかよそよそしかったこと。

もしかして。

瑠夏はずっと――。

俺と彩花が付き合っていると思っていた?

そう思った瞬間、胸の奥が苦しくなった。

もし、あの噂がなかったら。

もし、瑠夏があの噂を信じていなかったら。

あの頃、俺たちはもっと普通に話せていたんだろうか。

もっと近くにいられたんだろうか。

もしかしたら――。

俺と瑠夏の関係は、何か違うものになっていたんじゃないだろうか。

翔は、ゆっくり瑠夏を見る。

瑠夏は俯いたままだった。

その横顔を見つめながら、翔は初めて知った。

あの頃、瑠夏が自分を避けていた理由を。
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