加納欄のオレオレ詐欺
「とにかく、中入れ!」

孫に腕を支えられ、婆ちゃんはようやく立ち上がった。

「で、何て言われたんだよ?」

「お前が大変なことしたから、助けてほしいって」

「だから、完全にオレオレ詐欺じゃん」

「じゃから、お前の声に似とったんじゃ!」

「俺、そんな電話してないって」

「わかっとるわ! 今ここにおるんじゃから!」

「じゃあ、警察に電話しよう」

「警察?」

「また電話かかってくるかもしれないだろ」

孫はすぐに父親へ連絡した。

事情を聞いた父親から、警察へ通報が入る。

しばらくして、玄関のチャイムが鳴った。

「南署のものです」

やって来たのは、生活安全課へ異動した祥子だった。

「お電話の件、詳しく聞かせてもらえますか?」

「それがなぁ……。気が動転して、あんまり覚えてなくてなぁ」

「大丈夫ですよ」

婆ちゃんは、さっきのメモを祥子に差し出した。

その中に書かれた一つの名前を見て、祥子の表情が変わった。

――黒龍会。
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