『氷の王子様は、私の秘密を知っている』 〜学校一のイケメンの正体は、私の重度なトップオタク(R_K)でした〜
本人の口から聞いた瞬間。
胸の奥が、妙に熱くなった。
昨日から分かっていたのに。
全然違った。
画面の向こうにいた人と。
目の前にいる人が。
今、完全に重なった。
「……そう、だったんですね」
なんとかそれだけ言う。
「……驚かないの?」
ギクッ。
「えっ」
「普通もっと驚くだろ」
「お、おど、おどろいてます!」
「嘘下手すぎ」
まずい。
如月くんが目を細める。
「……昨日、見た?」
「…………」
「俺のスマホ」
「…………ちょっとだけ」
「いつから知ってた」
「き、昨日から……」
沈黙。
「…………」
「…………」
「昨日から?」
「はい……」
如月くんが再び顔を覆った。
「最悪」
「ご、ごめんなさい!」
「お前に言ってない」
耳が、さらに赤くなっている。
「昨日から俺だけ何も知らずに……」
小さく何かを呟いている。
聞き取れない。
「……とにかく」
如月くんが顔を上げた。
少しだけ、いつもの冷静な表情に戻っている。
「誰にも言わない」
「……え?」
「お前がナナイロだってこと」
胸が大きく跳ねた。
「ほ、本当に……?」
「言うメリットないだろ」
「でも……」
「俺は」
如月くんが一度、言葉を切った。
その目が。
ほんの少しだけ柔らかくなる。
「ナナイロが描けなくなるほうが困る」
胸の奥を。
指で触れられたような気がした。