その青は沈む
それから僕はロケが立て込んで、時間や日付も分からなくなっていた。いつも担当してくれる女性に、メイクをしてもらいながら、背後に立ったマネージャーを、鏡越しに見て聞いた。
「この後の予定は、どうなってる?」
「撮影後は、明日の昼まで空いてます。ですので、休んでください。昼からは取材が一件入ってます。場所は、佐伯さんのスタジオです。その後は……」
マネージャーの話に少し眉を寄せて、「ちょっと待って、なんで佐伯のとこで?」と聞き返した。
そしたら、すぐに「お二人で曲を作ったときのエピソードなどを取材したいそうです」と言った。
『なるほどね』と思ったけど、『それにしては、日が経ちすぎてるし……』と、前に来た女性のことを思い出して、やっと理解した。
行きたくはないけど、仕事でもあるし、それは彼のほうも同じだ。それなら何か対策を考えようとしたけど、多分、いや、彼ならほぼ把握しているはずだ。
まず、彼女を受付から外すことを僕も考える。どこに行くかは彼女の自由だけど、行き先を彼は聞くはずだ。そこから時間を計算して、僕をどこに座らせるのか、自分をどこに置くのか……。
『だめだ……』
ドラマで刑事役をしてるせいで、どうも推理する癖が抜けない。そんなことをしても、なるようにしかならないし、この後の台詞が飛びそうだから、このくらいにしておこうと思った。
そして撮影を終えてから、マネージャーに家まで送ってもらった。部屋に入って、すぐベッドに倒れ込んだ。その後は記憶がなくて、瞬きをしながら、目を覚まして、窓の外を見たら、青白い空が広がっていた。
思いきり背伸びをして、着替えてから、軽くご飯を食べた。そしてファイルを持って、部屋から出た。
スタジオに着いたら、やっぱり受付に彼女は居なかった。個室に向かうと、ドアも開いていた。携帯は持ってるから、もし、僕が先だったら、どこかに置くこともできる。けど、彼が先にいたら、そんなことはしてないはずだ。
この先は予想できないけど、行くしかない。多分、彼は僕を必要としてくれている。
「お疲れ様です」
個室に入ったら、彼は椅子に浅く座っていた。横をちらりと見たら、前回の人とは変わって、柔らかい印象の女性だった。その人はソファーで背筋を伸ばして、笑顔で彼を見ていた。
「この後の予定は、どうなってる?」
「撮影後は、明日の昼まで空いてます。ですので、休んでください。昼からは取材が一件入ってます。場所は、佐伯さんのスタジオです。その後は……」
マネージャーの話に少し眉を寄せて、「ちょっと待って、なんで佐伯のとこで?」と聞き返した。
そしたら、すぐに「お二人で曲を作ったときのエピソードなどを取材したいそうです」と言った。
『なるほどね』と思ったけど、『それにしては、日が経ちすぎてるし……』と、前に来た女性のことを思い出して、やっと理解した。
行きたくはないけど、仕事でもあるし、それは彼のほうも同じだ。それなら何か対策を考えようとしたけど、多分、いや、彼ならほぼ把握しているはずだ。
まず、彼女を受付から外すことを僕も考える。どこに行くかは彼女の自由だけど、行き先を彼は聞くはずだ。そこから時間を計算して、僕をどこに座らせるのか、自分をどこに置くのか……。
『だめだ……』
ドラマで刑事役をしてるせいで、どうも推理する癖が抜けない。そんなことをしても、なるようにしかならないし、この後の台詞が飛びそうだから、このくらいにしておこうと思った。
そして撮影を終えてから、マネージャーに家まで送ってもらった。部屋に入って、すぐベッドに倒れ込んだ。その後は記憶がなくて、瞬きをしながら、目を覚まして、窓の外を見たら、青白い空が広がっていた。
思いきり背伸びをして、着替えてから、軽くご飯を食べた。そしてファイルを持って、部屋から出た。
スタジオに着いたら、やっぱり受付に彼女は居なかった。個室に向かうと、ドアも開いていた。携帯は持ってるから、もし、僕が先だったら、どこかに置くこともできる。けど、彼が先にいたら、そんなことはしてないはずだ。
この先は予想できないけど、行くしかない。多分、彼は僕を必要としてくれている。
「お疲れ様です」
個室に入ったら、彼は椅子に浅く座っていた。横をちらりと見たら、前回の人とは変わって、柔らかい印象の女性だった。その人はソファーで背筋を伸ばして、笑顔で彼を見ていた。