その青は沈む
個室に入って、僕が迷っていたら、彼が「どこでもいい、とにかくここにいろ」と低い声で言った。だから、僕は前回と同じ場所に立った。
その時に女性が僕をちらりと見たけど、あの女性と同じような目をしてた。
「では次の質問ですが……佐伯さんにとって音楽は欠かせないものだと思いますが、敢えて聞きます、音楽の次に欠かせないものはなんでしょうか」
女性が聞いたら、彼は膝の上でジッポを鳴らし始めて、考えるような顔をした。
そして、彼は煙草を指に挟んで、女性に応えるように口を開いた。
「……犬、ですかね」
『は? 犬? てか、いま僕のほう見た、よね?』
変な答えだと思って、すぐに腹を立てた。なんだこいつ、僕をからかうために呼んだのか?と軽い拳を握っていた。
女性が笑って「犬、ですか? 飼ってらっしゃるんですか?」と言ったら、彼は「いいえ、育ててます」と言って、少し真面目な顔をした。
『別に頼んだ覚えはないですけどね』と、僕は一語一句はっきり思った。
「それなら、可愛くて仕方ないでしょうね」女性が柔らかい声で言ったら、彼は少し笑って「反抗的で困ってます」と言った。
『いつか絶対殴る』と誓ったけど、彼ならその前に止めてきそうだと思った。
「これからですよ。子犬はすぐに覚えますし……」そう言って、女性は笑顔を見せた。
「そうですね……」彼は言ってから、ジッポの蓋を閉めた。
「では、今日はこの辺にしておきます。このあと、よければお食事でもいかがですか?」
『きた』と、僕は携帯を手にして、録画ボタンの近くに指を当てたけど、録音ボタンを押していた。
「いいえ。作ってあるので、結構です」そう言って、彼はまたジッポの蓋を開ける。
「では、お茶でもしませんか?佐伯さんの音楽について聞きたいこともあるので」
やっぱり、女性は諦めてない。前の人とは違って、頭は良さそうだけど、どこか抜けている。けど、ここに僕が入り込んだら、彼が受けた仕事を壊してしまう。それは絶対できない。
ただ、見てるしかないのか……? 他にすることがあるんじゃないか……?
僕はテーブルの上をすぐに見た。ボイスレコーダーはあったけど、赤いランプが点いてない。でも、女性はペンを手にして、膝の上で手帳を広げていた。文字は読めないけど、きちんと書かれているようだ。
「自販機があるので買ってきましょうか?」彼は女性を見ながら、ジッポを鳴らしていた。なのに……。
「いえ、結構です。それでは、夜にでもお時間があれば……」女性はそう言ってから、名刺をテーブルの上へ置いた。
そしたら、彼が急に立って、その名刺を手に取って、ジッポで火を点けて言った。
「先程からお断りしています。さようなら」
彼は煙草をくわえて、椅子に座ってから、体を深く沈ませた。
女性は手帳の紙の隅を握って、すぐに閉じた。そして席を立って、彼を睨んでから個室を出ていった。
その時に女性が僕をちらりと見たけど、あの女性と同じような目をしてた。
「では次の質問ですが……佐伯さんにとって音楽は欠かせないものだと思いますが、敢えて聞きます、音楽の次に欠かせないものはなんでしょうか」
女性が聞いたら、彼は膝の上でジッポを鳴らし始めて、考えるような顔をした。
そして、彼は煙草を指に挟んで、女性に応えるように口を開いた。
「……犬、ですかね」
『は? 犬? てか、いま僕のほう見た、よね?』
変な答えだと思って、すぐに腹を立てた。なんだこいつ、僕をからかうために呼んだのか?と軽い拳を握っていた。
女性が笑って「犬、ですか? 飼ってらっしゃるんですか?」と言ったら、彼は「いいえ、育ててます」と言って、少し真面目な顔をした。
『別に頼んだ覚えはないですけどね』と、僕は一語一句はっきり思った。
「それなら、可愛くて仕方ないでしょうね」女性が柔らかい声で言ったら、彼は少し笑って「反抗的で困ってます」と言った。
『いつか絶対殴る』と誓ったけど、彼ならその前に止めてきそうだと思った。
「これからですよ。子犬はすぐに覚えますし……」そう言って、女性は笑顔を見せた。
「そうですね……」彼は言ってから、ジッポの蓋を閉めた。
「では、今日はこの辺にしておきます。このあと、よければお食事でもいかがですか?」
『きた』と、僕は携帯を手にして、録画ボタンの近くに指を当てたけど、録音ボタンを押していた。
「いいえ。作ってあるので、結構です」そう言って、彼はまたジッポの蓋を開ける。
「では、お茶でもしませんか?佐伯さんの音楽について聞きたいこともあるので」
やっぱり、女性は諦めてない。前の人とは違って、頭は良さそうだけど、どこか抜けている。けど、ここに僕が入り込んだら、彼が受けた仕事を壊してしまう。それは絶対できない。
ただ、見てるしかないのか……? 他にすることがあるんじゃないか……?
僕はテーブルの上をすぐに見た。ボイスレコーダーはあったけど、赤いランプが点いてない。でも、女性はペンを手にして、膝の上で手帳を広げていた。文字は読めないけど、きちんと書かれているようだ。
「自販機があるので買ってきましょうか?」彼は女性を見ながら、ジッポを鳴らしていた。なのに……。
「いえ、結構です。それでは、夜にでもお時間があれば……」女性はそう言ってから、名刺をテーブルの上へ置いた。
そしたら、彼が急に立って、その名刺を手に取って、ジッポで火を点けて言った。
「先程からお断りしています。さようなら」
彼は煙草をくわえて、椅子に座ってから、体を深く沈ませた。
女性は手帳の紙の隅を握って、すぐに閉じた。そして席を立って、彼を睨んでから個室を出ていった。