放課後のジントニック、美術室の魔法
そうやって一週間、醜い嫉妬の炎に身を焦がし、プライドを完璧にすり減らした私は、金曜日の夜、いつものバーのドアをいつもより勢いよく押し開けていた。
カウンターに座る彼の姿を見た瞬間、一週間分の焦燥感が一気に爆発しそうになる。
「ねぇ、航平くん。ちょっと聞いてもいい? ……先週の土曜日って、何してた?」
大人の女性としての理性を必死に繋ぎ止めようとするように、オフィスカジュアルの黒いスカートの生地を、細い指先でぎゅっと握りしめる。
彼が家にいたと、嘘でもいいからそう言ってほしかった。
そして、彼が「課題をしてた」と答えてくれた瞬間、私の胸からは、昨日からずっと張り付いていたあの冷たい刺すような空気が、一瞬で消え去っていった。ただただ安心しきって、小さく息を吐き出す。
それなのに、彼は私の安心を見透かしたように、少し声を低くして、意地悪く、でも真っ直ぐに私の顔を覗き込んできた。
『もしかして。俺が他の女の子とお出かけでもしてると思って……嫉妬、してくれてたんですか?』
突き放すようなその言葉に、私は目を見開いた。
「な、違くて……。その…………ああもう!しました!ちょっぴりやきもち妬いちゃいました!」
そして、すぐに自分がとんでもない本音を漏らしていたことに気づいてしまい、みるみるうちに耳の裏から、白い首筋までが真っ赤になっていくのが分かる。
これ以上、大人の仮面を被って踏みとどまるなんて、私には到底無理だった。
真っ赤になった顔を隠すように両手でグラスを包み込みながら、私はただ、彼が私の隣にずっといてくれる未来を、狂おしいほどに願っていた。

***

月曜日の放課後。
西陽が差し込む薄暗い部室の裏、自動販売機の前で、俺はパックの麦茶を握りしめたまま、大輝と夏海に向き合っていた。
「――っていうことがあって…」
俺がこれまでの経緯路、あのセレクトショップのガラスの向こうにいたのが結衣さんだったという衝撃をすべて打ち明けると、目の前の二人は全く違うリアクションを返してきた。
「ぷはっ!まじか!」
大輝は購買の焼きそばパンを喉に詰まらせそうになりながらも、大爆笑して俺の肩を小突いた。
「夏海と楽しそうに服選んでるところ見られて、ガチ嫉妬して自爆してきたわけ?あのクールな美術教師が?最高じゃん」
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