『ひとりの少女』
「水溜まりに落ちた雫」
その日も確か、同じように、いつも通りの帰り道を歩いていた。
またその日も雨で、写真を撮って。
何となく気に入ったから、少し画角を変えてみたりして。
すると、声をかけられた。
「ぁ…あの、すみません……初め、まして。」
酷く驚いた。知りもしない人。恐らく男子高校生。
どうしたのだろう、道に迷ったりでもしたのだろうか。
「……? はい。」
いつも通りの声で、返事をする。すると彼は、
「ぁ、あの……えっと、雨……撮って、るんですか…?」と言った。
酷く緊張している様子だった。「ああ、見られていたのか」と思った。
でも、それだけ。
「はい。雨、好きで」
彼が、「なんで……好き、なんですか?」と言う。
なんで、なんでと来たか。
何かを好きな本当の理由なんて、何においてももう分からなくなっているのに。
「安心」で誤魔化す事にした。
きっと、今日一日だけの関係だろう。
「雨の音を聴いていると、落ち着くからですかね」
それだけ言うと、彼は「そうなんですね」とだけ言って、小走りに去っていた。
何がしたかったのだろう。いまいちよく分からない。
やっぱり、人と人とは全然違う。分かり合えることなど、一生無いだろう。