浅葱と萌葱の検死報告〜ラスト・ドレスを纏ったシンデレラ〜
法医学や法人類学において、頭蓋骨と骨盤は身元特定と性別特定に重要な役割りを果たしている。何故なら、この二つの骨に「性別」と「人種」の違いが最も顕著に現れるためである。

例えば女性の骨盤は、「胎児を通す産道」としての役割りを持つため、男性に比べて横に広く、内腔が丸く大きな空洞を形成している。

「今わかる情報はある?」

「鼻骨の形状や眼窟の形は白人。上腕骨、橈骨、尺骨の大きさから身長はおよそ百七十から百七十五センチやな。今わかるのはこれくらい。この人の下半身を探さんと」

上半身しかない遺体であっても、額の前頭骨や下顎骨などの形状から性別を判断する場合もある。しかし骨の形状による判定は、子どもの骨では男女差が未発達で難しかったり、華奢な男性や骨太の女性など個人差によって断定できないケースも多いのだ。

「間違うわけにはいかへんからな……」

「格好は女性っぽいけど」

夕鈴が遺体を見つめる。肉と骨だけの無惨な姿になってしまったが、生前来ていたと思われる服の残骸が所々にあった。レースのついたランジェリーらしきものだ。
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