浅葱と萌葱の検死報告〜ラスト・ドレスを纏ったシンデレラ〜
「白夜ちゃん。リッキーをFBIに引き渡してほしいんだけど」

「嫌」

白夜は微笑みを浮かべる。しかしその目には確かな警戒があった。白夜はドアを閉めようとするものの、夕鈴がドアの隙間に足を突っ込んだため、それは叶わなかった。仕方なく、夕鈴を部屋に上げる。

「白夜ちゃん。リッキーは殺人を犯した。だから、どうすべきかはわかるでしょ?」

「絶対に嫌や。リッキーをFBIに渡したら、殺処分やろ。この子は何も悪くない。悪いのはロキシー・スノーやん。この子自身に罪はない」

白夜の手にリッキーが頭を擦り寄せる。白夜はリッキーを撫でた。手のひらに温もりが伝わる。心臓が鼓動する存在だけが持つ温もりだ。

「犬は賢い生き物なんやで。リッキーは多分、夕鈴ちゃんが自分を連れて行こうとするのに気付いとる。でもこの子は一度も牙を向けたりしてへん。それが答えとちゃう?」

白夜は夕鈴を見つめる。それは心からの懇願だった。夕鈴がため息を吐く。

「……上には、適当に誤魔化しとく」
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