浅葱と萌葱の検死報告〜ラスト・ドレスを纏ったシンデレラ〜
「仮眠室で休んできてください」

「でも……!」

「行ってきてください!」

白夜はマシューの背中を軽く押し、部屋から廊下へと追い出す。部屋のドアを閉めると、「おはよう。今日も助手の世話が大変そうだな」とバッカス・リンカーンに話しかけられた。彼は、昆虫や植物や鉱石に詳しく、研究所では微粒子の特定などを仕事としている。

「マシューが休んでいることは、所長には私から伝えておきます。バッカス、私に何かご用ですか?」

「これを見てくれ!オークションで手に入れたんだ!」

バッカスはそう言い、持っていた大きな鞄の中に手を入れる。彼が出したものを見て、白夜は顔を顰めた。それは虫の標本である。白夜はあまり虫が得意ではない。

「この虫はプラティコリヌス・チャパヌス。東南アジア原産のハムシの仲間だ。見る角度によって体色が変わるんだ。綺麗だろ?」

「……はい。そうですね」

白夜が低い声で返すと、バッカスが笑い出す。

「見るのが嫌なら嫌って言えよ。ていうかお前、遺体に付着したウジ虫は平気なくせに何で他の虫はダメなんだよ」
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