秘密
「ね、お兄ちゃんってさ昔サッカー選手になりたいって言ってたじゃん?なんでなんなかったの?」
白いお皿によそわれた“兄貴特製カレー”はせっかく買ってきたチョコの味なんて1ミリもしなかった。
ひと口、またひと口と頬張る私が言った言葉に兄はフッと笑う。
「サッカー選手なんていつの話だよ。男なら誰もが通る道だっつの」
「そんなもん?」
「そ。今は普通にお客さんもそこそこ来てくれるし楽しいし!」
「ふーん」
今日、先生から進路希望の紙を思い出しながら適当に返事を返す。
「なに、なんだよ」
「別にー?」
「そういえば、お前進路どうすんの?大学どこにすんのか決めたのかよ」
「えっ」
当たり前のようにそう言った兄につい変な声が出てしまった。
「大学…、行っていいの?」
「将来何がしたいのか特にないなら4年間で見つけたらいいし。行かないより行った方が100倍良いだろ」
シャクシャクと添えられた福神漬けを食べながら真っ直ぐに私を見るお兄ちゃん。
「そうだね」と言うと「ちゃんと考えとけよ」と言って視線はテレビに動いた。