落ちこぼれ芸能科ですが、演技の天才ヒロインが舞台で全員勝たせます。

第一章

星ヶ峰芸能学園の第三劇場は、朝からぴりぴりしていた。

「無理だって。あと三週間で本公演とか、ほんとに言ってる?」

 ステージ袖で台本を握りしめたまま、誰かが泣きそうな声をあげる。

「しかも、うちのクラスだよ? あの一年C組だよ?」

「歌はそこそこ、ダンスはばらばら、演技は壊滅的」

「言い方きつ……でも否定できない……」

 重たい空気が、劇場のすみずみにまで沈んでいた。

 星ヶ峰芸能学園、芸能科一年C組。
 通称、落ちこぼれクラス。

 華やかな才能を持つ子たちが集まるこの学校の中で、どうしてC組だけがこんなにまとまりがないのか。理由は簡単だ。ひとりひとりは悪くないのに、全員が自分のことで精いっぱいで、誰も同じ方向を向けていないから。

 それに。

「主演候補だった真白くん、A組に引き抜かれるらしいよ」

「えっ」

「うそでしょ!?」

 追い打ちみたいなひと言に、あちこちで悲鳴があがった。
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