君のいない明日を、今日。

5月10日

――こうき

今日この日は。

絶対に忘れちゃいけない。

忘れられない日だ。

朝。

とにかく今日が早く過ぎてほしかった。

君のいない明日を迎えるのが怖かった。

だから。

今日をただ、必死に耐えた。

授業も。

休み時間も。

何をしていたのか、ほとんど覚えていない。

ただ。

今日を終わらせることだけを考えていた。

そして。

下校のチャイムが鳴った。

俺は、ほとんど走るように学校を出た。

ダッシュで家に帰る。

風呂に入って。

飯を食べて。

ベッドに寝転ぶ。

「……」

怖い。

怖くて。

眠れない。

明日。

愛が生きているか。

それだけが怖かった。

そっと目を閉じる。

すると。

浮かんでくる。

今日、見た愛の顔。

二年ぶりに見た。

あの笑顔。

「……愛」

小さく名前を呼ぶ。

明日。

愛が生きていますように。

どうか。

何も起こりませんように。

そして。

もし明日。

愛に会えたら。

俺は、なんて声をかければいいんだろう。

「……おはよう」

それだけでいいのかな。

でも。

愛は俺のことなんて知らない。

この二年間の愛を。

俺は知らない。

愛がどんな毎日を過ごしてきたのかも。

何を考えて。

何を笑って。

誰と過ごしてきたのかも。

俺は知らない。

そして。

愛も。

俺のことなんて知らない。

顔も。

名前も。

何も。

それでも。

明日。

初めて会う。

――いや。

俺にとっては...

「……頼む」

目を閉じたまま。

祈る。

明日。

愛が生きていますように。

明日。

愛に会えますように。

そして。

今度こそ。

何も起こりませんように。

そう祈りながら。

俺は。

君のいない明日を――

今日、塗り替える。
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