君のいない明日を、今日。

夜

こうき視点

……喉、乾いた。

夜ご飯は、ほとんど喉を通らなかった。

箸を持っても、何も食べる気になれなくて。
胸の奥にずっと引っかかっている、このざわつきが気持ち悪い。

強めの炭酸でも飲めば、少しは紛れるだろうか。

そんなことを考えながら、俺は家を出た。

自販機までは、数百メートル。

たいした距離じゃない。

ぼんやりとした頭のまま、夜道を歩く。

街灯の明かりが、やけに眩しかった。

――何かがおかしい。

そんな気がする。

でも、それが何なのかは分からない。

ただ、胸の奥がずっと騒がしかった。

そのときだった。

前から、大きなトラックが近づいてくる。

けれど俺は、それに気づかなかった。

ぼーっと前を見たまま、一歩、また一歩と歩く。

そして――

突然、身体に強い衝撃が走った。

視界が真っ暗になる。

何も見えない。

何も聞こえない。

ただ、身体のどこかが……あったかい。

あったけぇ。

頬を伝っていくものが、妙に温かかった。

流れる血の温度だった。

少しずつ、少しずつ、世界から色が失われていく。

白と黒だけになっていく視界の中で――

ふと、愛の顔が浮かんだ。

笑っている愛。

怒っている愛。

泣いている愛。

いろんな顔が、頭の中を駆け巡る。

「あーあ……」

声になったのかも分からない。

なんでかなぁ。

最後に思い浮かぶのが、愛なんて。

……会いたい。

もう一度、会いたい。

「会いたい……」

声が震える。

「……会いたい……!!」

その言葉を最後に、

俺の意識は、深い闇の中へ沈んでいった。
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