普通の貴族だと思って結婚したら、身分を隠して潜伏する王太子様でしたー!? ……離婚します!
 このままだと、二人とも殺されてしまう……計算すれば、簡単なことのはずだ。二人で死ぬべきではない。替えのきくただの貴族の私なんかを見捨てて、王族の血を引く彼が生き残るべきなのだと。

「妻の命だけは……助けてやるよ」

「はああ……驚いた。まじかよ。皆殺されてるじゃん。王子様ってこんなに強いのかよ」

 暗殺者たちはアルベルトの強さを目の当たりにして、呆れるように言った。足元にあった剣を遠くへと蹴ると、アルベルトの喉を持って顔を近づけた。

「ふん。こうして見ると、あの国王にそっくりだな。首を持ち帰れと言われているから、喉をかき切るか」

 彼は黒いナイフをアルベルトの首に押し当てたので、私は目の前にあった手を噛んだ。

「いてぇ!! 何すんだ。この女!」

「逃げて! 早く逃げて……! アルベルト!!」

 私は必死で叫んだけれど、アルベルトは優しく微笑んだ。

「……? なんだ?」

 彼はすぐ傍にあったナイフを持っている手首を掴み、ボキッと生々しい嫌な音がした。骨を折ってしまったのだ。その場にいるアルベルト以外は、あまりの驚きに動けなかった。

「……わ! 嘘だ……っ」

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