普通の貴族だと思って結婚したら、身分を隠して潜伏する王太子様でしたー!? ……離婚します!
 そうだった。忘れていたけれど、女性は自分より良いものを持つ同性には、複雑な感情を持つもの。そういう生き物だった。

 夜会に共に出席すればアルベルトは、濃い金色の髪も神々しいほどにまばゆくて、誰かから注目されるべく生まれてきた男性に思えるのだ。

 それもそのはず、その正体は国民を統べる王族の直系なのだ。

 彼が『実は身分を隠した王子様でした!』とこの場で明かしたとしても、誰も疑うことなく納得するでしょう。

 誰がどう異論を唱えようが、ひと目見れば誰もを納得させてしまう。そういう確固とした王としての星の元に、生まれた男性だった。

 そんな彼と結婚することが出来た私を、誰かが妬まない筈はなく……私は名前も知らないどこかの令嬢に意地悪をされて、すんでのところでそれを回避することが出来た。

 こちらにその気はなく誰かに嫌な思いを持たれていると思えば、気分が悪いものだ。

 仕方がないとは思える。私は裕福な家の出で、アルベルトは同じ世代でも大人気だった美形な伯爵。

 けれど、誰かの悪い感情を思い切りぶつけられて、良い気分でいられるわけがない。

「怪我はなかったかい?」

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