魔法より、君に恋をする。
 店を出たところで、小さな焼き菓子の店を見つけた。

「あ」

「クロフォード先輩のお土産?」

「うん」

 二人で店へ入る。

 いくつか見比べて、リリアは小さな箱を選んだ。

「これにする」

「何味?」

「ナッツとチョコ」

「猫じゃなくていいの?」

「怒られそうだからやめる」

「残念」

「でも猫の包装紙にしてもらう」

「攻めるね」

「これくらいなら大丈夫」

 会計を済ませる。

 店を出ると、セシルが小さく笑った。

「クロフォード先輩、喜ぶと思うよ」

「そうかな」

「うん」

「セシルは嫌じゃない?」

「何が?」

「私が他の人のお土産選んでるの」

 セシルは少しだけ驚いた。

 午前中の話を覚えていたのだろう。

「……少しだけ」

「嫉妬?」

「少しだけね」

「じゃあセシルにも何か買う」

「そういう問題じゃないよ」

「違うの?」

「違う」

「難しい」

「うん。恋って結構難しいんだよ」

 リリアは考える。

「セシルも大変だね」

「……本当にね」

「好きな人、鈍い?」

「ものすごく」

「大変」

「うん」

「応援する」

「……ありがとう」

 笑うしかなかった。
< 109 / 296 >

この作品をシェア

pagetop