魔法より、君に恋をする。
人通りのある中央棟へ出たところで、レオンハルトは完全にいつもの王子へ戻った。

 すれ違う生徒から挨拶され、穏やかに応じる。

 女子生徒たちの視線も集まる。

 やっぱり人気者なのだと思う。

「じゃあ、僕はこっちだから」

「はい」

「今日は来てくれてありがとう」

「また行っていいですか?」

 レオンハルトの表情が柔らかくなる。

「もちろん」

「先輩がいなくても?」

「……できれば僕がいる時にしてほしいな」

「なんで?」

「僕が会いたいから」

 リリアは瞬いた。

 レオンハルトも自分が何を言ったのか気づいたらしい。

「いや、今のは――」

「私も会えた方が嬉しいです」

 言い訳しかけた口が止まる。

「だって一人で本読むなら、寮でもできますから」

「……そういう意味か」

「他に何が?」

「何でもない」

 レオンハルトは小さく笑った。

「またね、リリア」

「はい。また、レオン先輩」

 別れる。

 数歩進んでから、リリアは一度だけ振り返った。

 レオンハルトもまだこちらを見ていた。

 目が合う。

 彼が笑う。

 リリアも手を振った。

 それから今度こそ歩き出した。
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