私ばかりが本気だと思って別れを告げたら、完璧上司の余裕が崩れました【ヒロイン視点改稿版】
「い、いえ。なんでもないです」
恋人なのだから、手をつなぐくらい普通のことだ。
分かっているのに、佳穂は返事が上ずらないようにするだけで精一杯だった。
しかしそんな緊張も、美しい花と緑に気を取られているうちにあっさりと薄れていく。
並んで歩きながら同じものを眺めるというのは、互いの顔を見つめ続けなくていいぶん、食事よりも気楽だ。それでいて心の距離を近づける。
リラックスした気持ちで話していると、一つの話題からまた別の話題へと、会話は自然と転がり、広がっていく。
「え、じゃあ課長って、お休みの日は家にいることが多いんですか?」
「まあ、そうだな。本を読んだり、料理をしたり。あとは散歩くらいか」
「……なんだか意外です」
「意外って」
雅芳がふっと吐息を漏らす。
「僕をなんだと思ってるんだ?」
言われて佳穂も苦笑する。
確かに少し、別世界の人というイメージが先行しすぎていたかもしれない。
とはいえ、聞かれたら答えないわけにはいかないので……
「もっと、こう……華やかなところへ出かけたりするのかと」
「一人で?」
「お友達とか」
恋人なのだから、手をつなぐくらい普通のことだ。
分かっているのに、佳穂は返事が上ずらないようにするだけで精一杯だった。
しかしそんな緊張も、美しい花と緑に気を取られているうちにあっさりと薄れていく。
並んで歩きながら同じものを眺めるというのは、互いの顔を見つめ続けなくていいぶん、食事よりも気楽だ。それでいて心の距離を近づける。
リラックスした気持ちで話していると、一つの話題からまた別の話題へと、会話は自然と転がり、広がっていく。
「え、じゃあ課長って、お休みの日は家にいることが多いんですか?」
「まあ、そうだな。本を読んだり、料理をしたり。あとは散歩くらいか」
「……なんだか意外です」
「意外って」
雅芳がふっと吐息を漏らす。
「僕をなんだと思ってるんだ?」
言われて佳穂も苦笑する。
確かに少し、別世界の人というイメージが先行しすぎていたかもしれない。
とはいえ、聞かれたら答えないわけにはいかないので……
「もっと、こう……華やかなところへ出かけたりするのかと」
「一人で?」
「お友達とか」