私ばかりが本気だと思って別れを告げたら、完璧上司の余裕が崩れました【ヒロイン視点改稿版】

夜景と二度目のキス

『行きたいところがあるんですが……』

 そんなメールでとりつけた約束の当日、佳穂が雅芳を連れ出したのは、都内の運河沿いに広がるウォーターフロントエリアだった。
 水辺には遊歩道が整備され、レストランやカフェが点在している。日が暮れると対岸の建物や街灯の明かりが水面に映り、デートスポットとしても人気らしい。
 レストランで夕食を終えた二人は真っ直ぐ駅には行かず、遊歩道へと足を向けた。
 運河との境に設けられた柵に寄りかかり、きらきらと光る水面を眺めていた雅芳がこちらを振り返って微笑む。

「本当に綺麗だな。都内にこんなところがあったなんて知らなかった」
「はい、思った以上に素敵な場所でびっくりです」

 隣に並んだ佳穂も笑って応じる。そして再び運河の景色に視線をやる。

『夜景が綺麗みたいなので、一度行ってみたくて』

 そうメールには書いたものの、期待したほどよくなかったらどうしようと密かに気にかかっていたので、杞憂に終わってよかった。
 さり気なく周囲を見回してみると、ネットで見たとおり、駅から少し離れたこのあたりは人影もまばらだ。
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