私ばかりが本気だと思って別れを告げたら、完璧上司の余裕が崩れました【ヒロイン視点改稿版】
夜の街にバタバタと忙しなく足を動かす音が響く。
佳穂は駅までやってきたところでようやく足を止めた。背後を振り返っても、追いかけてくる人影はない。
周囲を行き交う人々は一人で息を上げている佳穂など気にもとめず、それぞれの行き先に目を向けている。
佳穂はそれを確認してようやく胸をなでおろしたが、すぐに、安堵している場合ではないと思い直した。
――どうしよう。逃げてきちゃった……
自身が恋人になした所業を思い、両手で顔を覆う。
雅芳にどう別れを切り出すかは、たくさん悩んだ。けれど、答えは出なかった。自分の不安をどう伝えていいか分からなかったからだ。
あなたの本心が分からなくて不安だからです、なんて言ったら、きっと彼はきちんと好きだよと言ってくれる。でも佳穂が欲しいのはそんな受動的な言葉ではないし、おそらくそれでは解決しない。
これ以上、自分ばかりが彼に執着してしまうことが怖いのだ。だから別れてほしい。それを理解してもらい、円満に別れられる言葉を佳穂は見つけられなかった。
ゆえに、あんなひと言を突きつけるだけで終わらせてしまった。
「驚いただろうな……」
佳穂は駅までやってきたところでようやく足を止めた。背後を振り返っても、追いかけてくる人影はない。
周囲を行き交う人々は一人で息を上げている佳穂など気にもとめず、それぞれの行き先に目を向けている。
佳穂はそれを確認してようやく胸をなでおろしたが、すぐに、安堵している場合ではないと思い直した。
――どうしよう。逃げてきちゃった……
自身が恋人になした所業を思い、両手で顔を覆う。
雅芳にどう別れを切り出すかは、たくさん悩んだ。けれど、答えは出なかった。自分の不安をどう伝えていいか分からなかったからだ。
あなたの本心が分からなくて不安だからです、なんて言ったら、きっと彼はきちんと好きだよと言ってくれる。でも佳穂が欲しいのはそんな受動的な言葉ではないし、おそらくそれでは解決しない。
これ以上、自分ばかりが彼に執着してしまうことが怖いのだ。だから別れてほしい。それを理解してもらい、円満に別れられる言葉を佳穂は見つけられなかった。
ゆえに、あんなひと言を突きつけるだけで終わらせてしまった。
「驚いただろうな……」