私ばかりが本気だと思って別れを告げたら、完璧上司の余裕が崩れました【ヒロイン視点改稿版】
佳穂はおずおずと視線を上げて雅芳の表情を窺い、そこでかすかに息を呑んだ。鳩が豆鉄砲を食ったような顔、というのだろうか。そんな隙だらけの、見たこともない顔をしていたからだ。
――どうしよう、私、もしかして思ったより課長にとって酷いことをしている?
いいや、酷いことなのは最初から分かっていた。雅芳にはなんの落ち度もないのに、振ろうとしているのだから。
目まぐるしく思考していたところで、背後の扉のほうから、人が近づいてくる足音が聞こえてくる。
――人が来る……!
佳穂は目の前で固まっている男を見て、俯き、もう一度顔を上げた。
雅芳の表情は微動だにしない。
「……すみません」
それだけを言い置くと、佳穂は自席のバッグと上着を手にして、オフィスを出た。
――どうしよう、私、もしかして思ったより課長にとって酷いことをしている?
いいや、酷いことなのは最初から分かっていた。雅芳にはなんの落ち度もないのに、振ろうとしているのだから。
目まぐるしく思考していたところで、背後の扉のほうから、人が近づいてくる足音が聞こえてくる。
――人が来る……!
佳穂は目の前で固まっている男を見て、俯き、もう一度顔を上げた。
雅芳の表情は微動だにしない。
「……すみません」
それだけを言い置くと、佳穂は自席のバッグと上着を手にして、オフィスを出た。