私ばかりが本気だと思って別れを告げたら、完璧上司の余裕が崩れました【ヒロイン視点改稿版】
「そこまで思ってくれてるなら……どうして私にだけ言わせたんですか。好きだってこと。課長からも言ってほしかったです」
「――うん」

 頷いて、雅芳は前髪をかき上げる。

「うん、そうだ。そのとおりだ。――でも言えなかった」
「どうして……?」
「言ってしまったら、想いが溢れてしまいそうだったから。君のペースなんて無視して、全てに触れて、暴きたくなってしまいそうだった。実際、初めてキスしたとき、少し強引にしてしまって……」

 ――強引?

 佳穂は内心で疑問に思う。
 それはもしかして、手首を掴んだことを言っているのだろうか?
 そんな、佳穂にしてみたらほとんど忘れかけていたくらい些末なことを、雅芳は気にしていたと言うのだろうか。
 けれど彼の声音は、それがさも重大なことであるかのように重く沈んでいた。

「だから抑えた。君を怖がらせたくなかった。大事にしたかった。君にキスをせがまれたときだって、理性を必死に働かせて冷静さを保とうとした。……でも、抑えすぎたせいで、君には僕が本気じゃないように見えていたんだな……ごめん」
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