敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「隣のヴィンセント王国は、王家内部がこじれていると聞いているよ」
「そこからお嫁さんをもらうなんて……マイケル、本当にいいの?」
両親はわかっていない。
みんなが心配すればするほど、対象が面倒であればあるほど、マイケルの野心は燃え上がる。
「兄上! 兄上! ヴィンセント王国は、弓張月のようなガリガリの女性を好むらしいですよ。な、マクシム」
「はい、モーリス兄上。王女といっても、魅力的な女性である可能性はとても低いです」
「マイケル兄上も、女の子はもちもちしてるほうがいいと思いませんか!」
「母上達は自分達も胸が小さいから、弓張月さんを歓迎するかもしれませんが!」
「「「……」」」
十三歳の弟モーリスと、十一歳の弟マクシムの赤裸々すぎる主張に、マイケルとミゲルとメルヒオールの三人は押し黙った。
何を発言しても怪我をすると思ったからだ。
案の定、下の弟二人は、目尻を吊り上げた王妃二人にひっとらえられていた。
連れ去られた廊下の先から、二人の悲鳴が聞こえる。
なお、メルヒオールは「私は小さいほうが」と呟いて、マイケルを驚かせた。
そして、父王がそれに何度も頷いていたので、さらに驚いた。
家族のそういう話は聞きたくなかった。
色々と大惨事である。