敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
私がマイケルの寝室に乗り込んでから数日後、私は相変わらず、中庭のテラス席で本を読んでいた。
今日読んでいる本は、私の母親の部屋に置いてあった古びた本の一つである。
「またここで本を読んでいるの?」
「メルヒー」
「おはよう、ヴィオレッタ様」
わたしの右隣に座ってきたのは、第三王子のメルヒオールである。
金髪に緑色の瞳の、私と同じ歳の男の人だ。
彼が座ると、侍女がそつなくそばに現れてカップを差し出し、珈琲を注いで下がっていく。
「メルヒーは珈琲が好きなの?」
「うん。僕はもっぱら珈琲だね。ヴィヴィも飲むかい?」
「珈琲は、苦いから嫌い」
「はは。意外と子どもっぽいんだ」
「……」
私がぷいと顔を背けると、メルヒオールは笑いながら黒い液体を一口飲んだ。