敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「まあいいです。それより、メルヒオールを愛称で呼ぶのであれば、先に私を愛称で呼ぶべきではありませんか」
「愛称、ですか?」
「そうです愛称です。マイケルという呼び捨てでもいいですがメルヒオールをメルヒーと呼ぶならメルヒオールよりもさらに親しい間柄であることを示すような短い呼び名を使ったほうがいいでしょうなにしろ私があなたの婚約者にほぼほぼ内定しているのです明日には婚約発表をしてもいいと思って両親に話を上げていますそのような段階の男女が他人行儀に」
「……マイク?」
私がぽろりと呟くと、止まらない早口で話をしていたマイケルが、今度は石造のように固まった。
よくわからないけれども、これは構ってほしいという合図なのだろうか。